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名探偵たちの住んでいる世界

アガサ・クリスティの描く名探偵たちの事件簿をUPしました。
見ていただけましたか。
意外と読み残していた短篇があるのではないでしょうか。

さて、アガサ・クリスティの創造した有名なキャラクターと言えば、ポアロとマープルでしょう。
もし、この二人が共演したら面白いなと考えたことがある人は多いのではないでしょうか。
ただし、別シリーズの二人が共演するという事はめったにないものです。
それはシリーズ物にはそれぞれの世界があって、その中で登場人物たちは生きているからなのです。
ところが、この世界はそれぞれ別個のパラレルワールドの様に見えますが
いろいろなところに接点があってつながっているんです。
例えば、ポアロの秘書だったミス・レモンは、その後パーカー・パインの秘書になっています。
(名探偵二人の元で働いていた秘書は、彼女ぐらいでしょう。)
また、ハーリ・クィン シリーズに登場していたサタスウェイトは、ポアロ・シリーズにも登場しています。
トミーとタペンス シリーズにジャップ警部の名前も見られます。
このように全作品を見ていくと、
アガサ・クリスティの推理小説の世界は、シリーズがそれぞれ孤立しているのではなく
実は、ひとつの大きな世界をなしているという事が分かります。
ポアロとマープルも間に何人か入っていますが世界はつながっていますので
夢の共演の可能性はあったのです。
(ただし、それぞれシリーズの時間系列がはっきりしないので問題が残りますけどね。)


このように一人の作家さんが描く世界は、別のシリーズで別の世界の様に見えて
実はひとつの世界としてつながっているという事があります。
これは、最初別々の世界だったものが繋がってしまった場合と
最初からひとつの世界を使っている場合とがあります。
前者の理由として登場人物の使いまわしをした為に当初、別の世界だったものが
つながってしまったという事が考えられます。(作者が意図してやったかどうかは別として。)
私としては、この登場人物の使いまわしというのは、作品に深みがでてくるようで好きです。
また後者の場合、最初から世界をひとつに決めているので登場人物が他のシリーズにでてくるのは当然です。
この場合、いろいろな事を決めておかないと不都合が生じてきます。
(このような世界を書いている作家さんは、日本では泡坂妻夫氏や島田荘司氏たちがいます。)
私としては、アガサ・クリスティの場合は、前者のような気がします。

さてさて、話しはもどります。
実際に夢の共演を行っている作家さんもいます。
(パロディなどでは、いろいろな共演が行われていますが今回は、パロディなどは除きます。)
例えば、高木彬光氏の名探偵神津恭介氏と大前田英策氏が共演、
栗本薫氏の名探偵伊集院大介氏とぼくらシリーズのカオルくんの共演などがあります。
このような夢の共演は、読んでいてわくわくしますね。
私は、とっても好きです。


みなさんも今まで読んできた推理小説をもう一度よ〜く読むと
実は、ひとつの世界になっているかもしれませんよ。
作者の意図していることをちゃんと理解するのも読者の義務かもしれませんね。

最後に、
もし本当に名探偵たちが存在する世界があったら怖いですね。
だって世界中のいろいろな所でいつも連続殺人事件や猟奇事件などが
起こっているんですよ。でも犯人逮捕率は、99.9%かな。(^_^;)

ではでは。


追記>
アメリカの漫画(アメコミ)の世界では、夢の共演というのは、よく行われています。
アメコミの場合、作家単位ではなく、出版社単位でひとつの世界が作られています。
だから、超人ハルク(Marvel社)とスパイダーマン(Marvel社)などは、よく共演しています。
では出版社が違うバットマン(DC社)と超人ハルク(Marvel社)は、
共演していないかというと、実はそんなことはないのです。
アメコミでは、世界(出版社)を越えての共演は、おこなわれているのです。
ちなみにこの夢の共演のことをアメコミの世界ではクロスオーバーと言います。

さて、推理小説の世界にも世界(作者)を越えてクロスオーバーしている作品があります。
その名探偵の創作者とは関係のない作家がパロディやパスティッシュとして書いているのではなく
二人の名探偵の創作者のうちの一人が書いているのです。
(つまり、ちゃんとしたシリーズのひとつとしてという意味です。)
次回は、この事を書きたいと思います。





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